詩仙堂にあこがれて 7年前の話になりますが 施主(知り合いの設計士さん)のご実家を見学させていただきました 既存敷地の段差と石積を利用 前面道路から見ると平屋 お庭からは2階建て 庭に面して広縁を挟み座敷と 庭からの躙り口から入る茶室 階下には石積みの壁に挟まれた ひんやりとした空間 回遊式のプランで ワクワクして見てまわりました その見学の数か月前に 京都の詩仙堂を見ていたので ちょっと面影を感じていました 建物は施主の祖父母の時代にたてられ 今手元にある図面と写真は 1964年のその後の改修記録になります (施主の中学生の頃) この建物に魅了されるのは 施主となる代々の方々が大工さんに注文をして 人が集まれるように(婚礼や仏教行事)考え続け 手を入れながら守れた空間があるからです 畳をひくことのできる広縁から 以前は呉市が海まで一望できたようです 今回の訪問は 屋根からの雨漏りが以前よりもひどくなり この建物を残すのか 改修をどこまでするかと ご相談があり まずは相談業務の仕事として 再度、呉・平原へ 写真で詩仙堂の確認を 傾斜のあるお庭 門のあるアプローチ お庭から見る建物など 似ていると感じていたことは 実際はそうでもなく 詩仙堂ホームページを見ていると 詩仙堂はただしくは「凹凸窠」と呼び デコボコした土地に建てた住居という意味で この段差のある敷地のことかと思いました 凹凸窠の中心に 四方に詩人の肖像画をあげた「詩仙の間」があることから 詩仙堂と呼ばれているそうです 改修のため 屋根や構造のことを理系の頭で考えながら 詩仙堂に思いをつなぐためには 呉・平原の家の石積みに囲まれた部屋こそがその場所だと (施主のお父さんの書斎) 詩的な空間にあこがれる私はひそかに考えています