あさおか台の家
構造チェンジ:あさおか台の家
構造チェンジは強度チェンジ
強度をあげることはどこまでも可能ですが
今回は父が書いた平面図を残す
そのうえでできる補強を考えました
例えばこの写真の
ダイニングキッチンは14畳の大きさ
鉄骨の梁を入れてまでつくった大空間を
残すという決断の上で
既存の柱に添え柱をして
鉄骨と柱の接合部の補強に
洋室の羽目板を張る場所は
下地が必要なので
構造用合板をできる範囲で施工して
壁の補強に
地震の揺れが大きかった部分は
クラックが多発
モルタル壁をすべて落として
下地合板で構造補強を行い
再度モルタルで仕上げました
増築したテラス部分は
2階建部分と平屋部分をつなぐ場所
梁と合板で水平剛性を高めてから
床をさらに組みました
耐震補強をガシガシにしたわけではありませんが
なにかするのついでに
補強工事をしてみました
多少は強くなっていることと思います
空気の流れチェンジ:あさおか台の家
8月9月の真夏の工事でしたので
現場はとても暑く
大変な工事でした
これからの地球沸騰時代に備え
この敷地でできる
空気の流れチェンジをおこないました
まずは敷地の南西の角にあった
外倉庫を取り壊して
家の周辺の
空気の流れをよくしました
風通しのよくなった
南側通路に面しているのに
地窓しかついてない和室
いつも暗く閉塞感がありました
窓を設けてあげることで
部屋が明るくなり
部屋うちの
空気の流れを変えました
50年前の家は
断熱材が施工されていません
天井裏のあったまった空気が
2階の空調の効きを弱めるので
自然に上昇して
棟から出ていくように
棟換気を取り付けました
また床下の空気のよどむ場所があったので
床下換気扇を取り付けました
木造の家は木部の腐朽が気になります
できるだけ空気をながして
長持ちできるように空気チェンジです
外装チェンジ:あさおか台の家
外壁のメンテナンスが
まず最初の目的でした
その時にできることを一緒に行いました
①外壁
②窓(アルミサッシ)
③玄関
④屋根・庇・雨樋
①外壁
基本は塗り替えでリシンの吹付
クラックのひどいところは
大きく地震でゆれたところ
下地で構造補強して
モルタルからやり直しました
きれいに塗装しても
下地のちがいは隠せませんでした
②窓(アルミサッシ)
モルタルの下に取り付けてあるので
サッシまわりにカッターを入れて取外し
アルミサッシを取り替えます
断熱性能が非常に高い樹脂のものではありませんが
ガラスは熱線反射ガラスに
予算のなかで
家のほぼ全部取り替えました
50年前にサッシ比べたら断然性能は上がっています
③玄関
テラスによる軒下空間ができたので
玄関内側と一体化を図るため
両開きのガラス戸に
道路に面していない立地ならではの意匠です
④屋根・庇・樋
屋根は35年前に瓦に吹き替えているので
今回はチェンジなし
この形状の瓦は今でもあるようなので
何かあれば部分補修が可能なことがわかりました
樋は雨漏りを起こしている部分の補修と
劣化を抑えるための塗装
庇は板金が50年さびていたので
吹き替えとなりました
間取りチェンジ:あさおか台の家
外壁の劣化が気になりながら
ぐずぐず工事を引き延ばしていましたが
補修工事だけでは面白くないので
母がさらに今を楽しく生活できるようなも変化を
テラスの増築
間取りチェンジが決まったことで
設計は前に進みだしました
2階建て部分と
平屋部分とつないで
構造としても補強となるように
テラスのつくりは
アプローチとして
家の顔となるように
アプローチ+玄関
朝の母の居場所を快適に
隣からの視線も遮り
朝日だけ浴びれるように
2階居間+テラス
眺望を楽しみ
物が干せるように
間取りのチェンジは
人の動きを変えるので
同じ家に住むながら
生活のリズムが変わります
リフォームの醍醐味です
内装チェンジ:あさおか台の家
紺色の布クロスの天井
52年前から家の基準色
紺色をずっと見て過ごしてきて
小さい頃からジーンズを着てきたので
青色好きに
紺色の天井は
改修後も家の中心に
年数をかけて傾いてきた家
扉は徐々にしまりが悪くなりました
今回は内部の建具をすべてチェンジ
今どきの金物と傾きで
色は紺色に
1階の建具はすべて引き戸にして
高齢の母の生活に備えます
和室の聚楽の壁は
アップサイクルで
ジーンズの端布をつかった左官材料
NURU DENIM (ヌルデニム)
色にはこだわりをもって
ユーズドブラックとインディゴブルーの
中間ブルーに
試験を兼ねて
レフトハンズの事務所の水回りは
ストーンウォッシュに
いつでも見学にいらしてください
既存の雪見障子
既存の客間セットとも
青はお似合いです
新しく内装に使った羽目板・床板とも
天井ブルーから
インテリアブルーに
カーテン・ソファー・敷物への派生していましたが
今回の改装で
さらに内部建具・ぬりかべへと
床の間もブルーにしてしまいました
写真集②:あさおか台の家
写真集①:あさおか台の家
玄関
和室
洋室
DK
2階テラス
温熱環境と構造補強
団地なので
隣地の敷地の擁壁が
そこから雨水が流れてくることもあり
湿気が多く苔の生えている家の南側
奥に見える物置を壊して
通風よくすることに
床下に潜ってみると
大工さんの忘れた道具がさびていました
床下の環境をよくするため
床下換気扇を
前回の塗装でふさがれてしまった通気口
ここから空気を取り入れて
屋根裏の一番高い部分から
熱気を抜くための換気口を
地球沸騰時代に備えます
外壁や内壁を変更する部分は
構造補強をしてから仕上げを変更
大きな空間DKを支える鉄骨の仕口部分
添え柱をして
大きな空間をこれからも支えます
父の設計
私が小学3年生の時に亡くなった父
家について話をしたことはありませんが
この家を通して
考え方を想像することが今はできます
現在は引き戸の玄関ですが
竣工当初はドアでした
今改装でまたドアに
さらに玄関の空間の魅力を高めます
玄関につく階段と
そこから続く2階のホール空間
それ以外は部屋から部屋に移動で
狭い廊下はありません
2階の子供部屋は
6畳間が3つくっついた空間
いろんな使い方をして子供時代を過ごしました
合板の壁が印象的な空間です
家の真ん中はDK
2世帯だったので
つい最近まで冷蔵庫も食器棚も2つ
それでも余裕の大空間
この広がりをもつ場所は祖母もお気にいりだったよう
その時代の照明・家具も再配置する予定
時代的に洋が流行りはじめていたのでしょうが
父は和室もつくり
地窓を多用しています
写真の場所は窓を設計士さんが書いていたので
南からの光をいれるため
窓に変更することに
唯一窓の間取りの変更です
たくさんの選択肢はありましたが
父の設計時の間取りをいかしての
改装にすることにしました
今の生活を豊かに
1間半の大きな窓
ここからの風景が母のお気にいり
ちょこんとついているテラスを
いろいろなことに使っています
さすがに木製のため劣化が激しいので
建物全体の構造補強も含めて
新規のテラスをつくることに
2階はテラスとして
1階は玄関へのアプローチ
半戸外のスペース
現在玄関前でひなたぼっこする
母のスペースを快適に
高齢の母の家
引っ越してきた時から
ずっと生活スペースが2階の母
膝を痛めていることもあり
階段を上がるのが困難になる日がくるでしょう
1階で暮らす準備を
生活を始める時のために
収納部分を増設
1階が暗いイメージを変えるため
一部窓を設置
1階すべてを
車いすで行き来できるようにフラットに
扉をすべて引き戸に
コンセプト①外壁のメンテナンス
外壁のメンテナンスを始めるにあたり
母が育てている緑を
まずは別場所へ
改めて外壁を見渡すと
・アルミサッシ
・設備の配管
・雨どい
・庇
・木のテラス
といろんなものが設置されている
外部の塗り替えをする前に
これらの状態を確かめ
どうするかを決めます
予算のかかり方が変わります
・アルミサッシは
鍵も壊れ・単板ガラスなので取り換えることに
・設備の配管は
再配管直しをすることに
あわせて現在の設備の状態を調べてもらうために
・雨どいは
一部取り換えであとは塗り替えを選択
次回屋根を交換する時期に取り換えすることに
・庇は
さびて穴が開いている状態なのでガルバニウムで葺き直し
・木のテラス
劣化が進んでいるので撤去
新しいものを新設
ひびが入って劣化がひどい部分は
モルタル壁をはがして
合板でモルタル下地になる
ラスカットを貼って
外部から構造補強も行います
改装の目的:あさおか台の家
改装を始めるにあたり
荷物を整理している中で見つけた写真
祖父母はすぐにお庭をつくったよう
あさおか台の上り口には
愛魚園という鯉屋さんが
近隣にはたくさんの園芸屋さんが
池に鯉がおよぎ
玄関には迎えの松
これが当時のお庭が流行りだったよう
家の方は
父が建築雑誌を読みながら書いた
プラン通りに施工されている
(ノートに残っている)
このGIという雑誌の
カルフォルニアに建つシーランチの住宅群が
好きだったのではないかと推測する
屋根の形状はスケッチと違っているが
要するにモデルはアメリカである
父が他界してしばらくして
玄関は引き戸に
屋根は瓦に
外観はお庭に合わせて和のテイストに
今回の改装は施主は母
あまり細かいことを聞かずに
図面を書き始める
なんでもできるけど
何をするか悩み始め
以下の内容にしぼることに
①劣化した外壁のメンテナンス
(屋根まわりは工事しない)
②高齢になった時の母の生活場所の整備
(主に1階)
③今現在の生活をさらに楽しめる場所をつくる
(主に2階)
④父の家への設計の思いを進化させる
⑤上記の工事をする中で構造の強化と温熱環境の改善
母のこれからの家
私や兄弟の実家
祖父母が最後まで家で暮らすことにこだわった家
親族にとっての本家
これからもここへ来る人たちが
快適に空間を楽しんでもらえるように
改装の時期:あさおか台の家
写真の外壁のひびは
2001年の芸予地震の時にできたもの
私は事務所を開設したばかりで
あまり知識もなかったため
内部や屋根に変化がないことを良いことに
そのままに
ひびにコーキングをしただけで済ませていた
祖父祖母82・81才の春
1回目の改装チャンス
2012年
窓の向こうの浴室の換気扇から
水が滴り始める
2階への給水管の劣化
ピンホールができていた
在来工法のお風呂からUBに
全ての住設をその時にやり替える
この時祖父祖母は93・94才の春
家にずっといることが増えていた
この時期に足場を組むのはためらわれた
同居する母にこれからのことを聞くと
まだ先のことは決められないと
最小限の工事にすることに
2回目の改装チャンス
100才まで生きた祖父祖母の家だったため
だれが支払うのかと
相続はだれがするのか等考えると
そのままという選択に
外壁はすでにぼろぼろに
改装の時期はとっくに過ぎている
祖父祖母も他界して
相続も私がしたことにより
家の管理をしていかなければいけない立場に
コロナで母は家にいることが多くなったので
庭に好きな木を植えて楽しめるようにしたところ
老後もこの家に住み続けたいと
母81才の初夏
やっと改装開始です
夏は避暑に姉の住む釧路へ行くので
その期間でできるところまで
建設当初は屋根は軽いコロニアル葺き
その後瓦を上からかぶせて施工
竣工後
荷重が増えたことにより
家にゆがみをもたらしているよう
この家の将来はわからないけど
母がこれから20年住むのに
快適に楽しく暮らせるような改装を
あさおか台の家について
広島市の郊外団地
あさおか台
昭和47年竣工の私が育った家
植樹して緑あふれるお庭になりました
スレート屋根を瓦に葺き変えた以外は
大きなメンテナンスをせず
築50年を過ぎ
今は母が一人暮らし
これからの生活を考え
少し改修することに
国鉄に勤めていた祖父母が
駅の官舎くらしから解放された時に
建てた家
工事中の家との記念写真が残ってました
設計は素人の父
建築雑誌をみながら間取りを考えた家
施工は太平住宅
在来木造専門の住宅メーカー
最初は7人でくらしていました
1階が祖父母
2階が私たちの家族です
確認申請書の図面をもとに
現調をおこない
ご要望の金額でどこまで改修できるか
乞うご期待